コラム

幹細胞治療による美肌治療を具体的にご紹介します

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近年幹細胞を用いた美肌治療が注目を集めています。

幹細胞は再生医療の現場で新たな治療手段として活用されています。幹細胞による美肌治療は、既存のヒアルロン酸やボトックスなどの治療と異なり、もともと肌に備わっている自分の細胞を治す力(自己再生能)を高める治療です。

幹細胞は肌でどのような働きをするのでしょうか。

たとえば、私たちが怪我をしても時間がたてばかさぶたとなり、自然と治ります。この時に重要な働きをしているのが幹細胞で、傷ついた細胞を修復し、新たに血管をつくって傷を治します。

幹細胞は加齢とともに数が減少するため、細胞の再生能力も低下します。40歳以降になると若いころに比べて疲れを感じやすくなったり、傷が治りにくくなるのは、幹細胞が減少したため細胞の修復、再生に時間がかかるからです。

幹細胞を肌に投与することで、自然な肌質改善が期待できます。

 

幹細胞は肌における線維芽細胞のコラーゲン、エラスチン産生を増加させる

肌にある幹細胞は、細胞の成長に必要な種々の成長因子、サイトカイン、エクソソーム(細胞同士のコミュニケーションに必要な遺伝情報を入れた小胞)を分泌し、線維芽細胞の増殖を促し、コラーゲンやエラスチンなどの産生を増やすことで肌のハリや弾力が改善します。

肌に存在する幹細胞は徐々に失われるため、線維芽細胞の数が減り、コラーゲンやエラスチンの産生が減少し、その結果、しわやたるみ、シミなどの肌トラブルが目立つようになります。

幹細胞を肌に投与すると、線維芽細胞からコラーゲン、エラスチンなどの産生が促され、肌質が改善します。

 

幹細胞は紫外線による肌のダメージを軽減

肌の老化は年齢よりも紫外線による影響が大きく、肌老化の70%以上は光老化が原因です。

よって肌の老化を抑えるには強い紫外線を避け、日焼け止めを塗り、遮光をする必要があります。幹細胞が分泌するエクソソームには紫外線による肌の炎症を抑え、ダメージを改善する働きがありますので、日焼け後の赤くなった肌にも効果があります。

 

幹細胞由来のエクソソームは肌の炎症を抑え、皮膚バリア機能を改善

肌の潤いには皮脂、天然保湿因子、細胞間脂質が関係していますが、中でもセラミドは細胞間脂質の多くを占めます。セラミドが減少すると皮膚からの水分の蒸発量が増え、乾燥肌になり、皮膚のバリア機能も低下します。アトピー患者では肌のセラミドが著しく減少しています。幹細胞由来のエクソソームは皮膚のセラミドの量を増やし、皮膚を乾燥肌から守ります。

 

幹細胞と幹細胞培養上清液

幹細胞を用いた美容再生医療には、幹細胞自身を肌に注入する方法と、幹細胞培養上清液を注入する方法があります。幹細胞を投与する場合には患者様ご自身の脂肪細胞から幹細胞を採取し、3~4週間ほど培養を行うため時間と費用がかかります。

幹細胞培養上清液は幹細胞を培養したときに得られる上澄み液です。この上澄み液には細胞の成分はなく、幹細胞が分泌した種々の成長因子やサイトカイン、エクソソームを豊富に含んでいます。通常は他人の幹細胞を培養し、得られた上澄み液に感染症等のスクリーニングの検査を行い安全性を確認したものを使用します。幹細胞治療と比べると費用は安価で即日治療が可能ですが、定期的に繰り返し治療を受けられるようお勧めしています。

 

幹細胞治療をご自身の肌質ケアに取り入れていただき、自然な肌のエイジングケアで美肌を維持してください。

コラム監修者

宮本 真由美

宮本 真由美 Mayumi Miyamoto ルネクリニック東京院 医師

略歴

ルネクリニック東京院にて皮膚科疾患全般の外来診療、美容医療、再生医療、スキンケア指導を行っている。

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