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ご家族の思い込みが激しいのは認知症のせい?対処法も解説

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「最近、家族の勘違いや思い込みが急に増えてきた……」

このような傾向が認められる場合、もしかしたらそれは認知症によるものかもしれません。

 

この記事では、認知症の周辺症状である「妄想」の詳細を、その対処法とともにお伝えします。

ご家族の言動に違和感を覚えられている方は、ご一読ください。

 

激しい思い込み「妄想」とは

「妄想」という言葉は元来、「空想・想像」や「事実無根の考え」という意味をもちます。

医学的には、根拠のない強い思い込みを抱きつづける精神症状を指します。

ひとたび妄想の症状が発現してしまうと、周囲が事実を説明して訂正を試みても、本人を納得させるのは容易ではありません。

詳しくは後述しますが、妄想の主な種類としては、被害妄想や嫉妬妄想、幻覚などが挙げられ、認知症や統合失調症、双極性障害の患者が呈する症状の一つとして知られています。

 

認知症のタイプと起こりやすい妄想症状

認知症は、記憶力や判断力といった脳の認知機能が鈍っていく病の総称です。

認知機能の低下とともに、日常生活における家事や、コミュニケーションなどに支障をきたしはじめ、病が進行すれば妄想や徘徊といった症状も現れてきます。

認知症の主なタイプには、アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症があり、それぞれ起こりやすい妄想症状が異なります。

詳しくは、下記をご覧ください。

 

認知症の主なタイプと妄想症状

認知症のタイプ 概要 主な妄想症状
アルツハイマー型認知症 ・遺伝的要素が大きい

・アミロイドβの蓄積による、脳神経の変性が直接的な原因と考えられている

被害妄想
脳血管性認知症 脳梗塞や脳内出血などの脳血管疾患による、脳へのダメージを遠因として発症する 対人妄想、幻覚(幻視)
レビー小体型認知症 レビー小体という異常たんぱく質の蓄積により引き起こされる 幻覚(幻視)、幻聴
前頭側頭型認知症 脳の前頭葉や側頭葉の委縮を遠因とする 妄想症状が認められることは少ない

 

認知症の主な4タイプのうち、3タイプの周辺症状として妄想が認められます。

 

アルツハイマー型認知症の妄想症状で典型的なのが、被害妄想です。

具体的には、「家族や介護士が自分の所有物を盗んだ」「周囲から疎まれている」などの思い込みであり、周囲に対する不信感や猜疑心から、心理的な孤立を強めていきます。

 

一方で、レビー小体型認知症や脳血管性認知症では、実際には存在しない人の姿や声、音が聴こえる、幻覚(幻視)・幻聴が認められます。

 

認知症により引き起こされるこれらの妄想症状は、本人の不安や恐怖をかき立て、抑うつ症状に拍車をかけかねません。

周囲に対して攻撃的である、徘徊する、奇声を発するなどの異常行動の背景には、このような妄想症状が隠れていることがあるのです。

 

認知症で妄想が起こる理由

認知症により、妄想が引き起こされるメカニズムは大きく2つあります。

 

1つ目は、記憶力や判断力などの、脳の認知機能の低下です。

認知症が進行すると、自らの行動や物事の経緯に関する記憶が欠落するようになるほか、目の前の状況や事象を論理的に処理する判断力も鈍っていきます。

そのため、仮に合意のうえで本人の持ち物を移動させたとしても、時間が経てば「誰かが自分の物を盗んだのではないか」といった被害妄想が沸き起こるのです。

 

また、認知症の諸症状の苦しみ自体も、妄想症状の遠因であると考えられます。

「昨日のことが思い出せない」「昔できていたことができない」といった焦り、不安、孤独感は大きなストレスとなり、認知症の方は精神的に追い詰められていきます。

そのような状況では、周囲のなにげない言動が、妄想のトリガーを引きかねません。

 

たとえば、本人のいないところで家族が談笑していると「のけ者にされている」「自分の悪口を言っている」といった事実とは異なる考えに及んでしまいます。

ただでさえ、認知機能が低下し、精神的にも不安定になっている状況ですから、このような些細な出来事であっても、妄想のきっかけとなってしまうのです。

 

認知症による妄想の種類と対処法

ここからは、認知症によって引き起こされる妄想の種類と対処法をお伝えします。

認知症を患っているご家族の言動の傾向と照らし合わせたうえで、正しい対処方法も押さえておきましょう。

 

物盗られ妄想

「物盗られ妄想」は、自身の所有物を盗まれたと思い込む被害妄想の一種です。

たとえば、財布やアクセサリー、記念品などを家族やヘルパーの方が盗んだと思い込むなどのケースが挙げられます。

認知症の進行にともない記憶力が低下すると、物を置いた場所を忘れがちになり、その結果として「他者が盗ったのではないか」という考えに至るのです。

 

物盗られ妄想は、認知症の方が周囲に対して不信感を募らせるきっかけとなり、攻撃的な言動にもつながります。

さらに症状が進行すると、家族やヘルパーが加害者扱いされることもあるため、注意を払っておく必要があります。

 

対処法

物盗られ妄想により、ご自身もしくは周囲の人間が疑われたとしても、妄想症状を呈しているご本人の主張を否定せず、状況に対して共感することが先決です。

一緒に探すなど、ご本人と同じ方向を向いてあげる姿勢を示してください。

また、室内を整理し、物がなくなりにくい環境へと整えてあげることも大切です。

 

②嫉妬妄想

嫉妬妄想は、本人の配偶者が、第三者と関係をもっていると思い込む妄想です。

よくあるものが、訪問介護のヘルパーと自身の配偶者が会話しているのを見て、「浮気をしている」と思い込むパターンです。

家族とのコミュニケーションが疎遠になったことによる孤独や不安が、症状の背景にあるケースも少なくありません。

 

対処法

嫉妬妄想により、浮気を疑われている場合は、まずそのような事実はないという点を強調することが重要です。

そのうえで、ご本人が家族の重要な一員であり、大切に思っているという気持ちを伝えてあげて、不安や孤独感を取り去ってあげましょう。

 

③対人妄想・迫害妄想

対人妄想・迫害妄想とは、周囲の人間が自分に危害をくわえた、あるいはくわえようとしていると思い込むタイプの妄想です。

 

たとえば、家族やヘルパーが自分に対して暴力をふるったと訴えるケースは珍しくありません。

しかも、本人に状況や経緯をヒアリングすると、細部に至るまで事実関係を詳細に説明するため、周囲の方ですら事実と誤認してしまう場合もあります。

また、身近な人間でなくとも、「第三者が自分の命を狙っている」「つけ回されている」といった妄想を抱くこともしばしばです。

これにより、本人の恐怖心や不安感が高まり、後述する帰宅願望や徘徊、異常行動などが副次的に引き起こされてしまいます。

 

残念なことに最近は、被介護者に対する障害事件も多いため、事実無根であっても疑いの目を向けられやすいという、悲しい現状があります。

そういった観点でも、対人妄想・迫害妄想は、注意を要する妄想症状の一つです。

 

対処法

被害妄想の言動が見られた場合は、ご本人と適切な距離をとったほうがよい場合もあります。

状況に応じて、ケアマネージャーや福祉課に相談し、指示を仰ぎましょう。

 

④見捨てられ妄想

見捨てられ妄想とは、本人が「家族から疎まれている」「のけ者にされている」という強い思い込みを抱いてしまう妄想です。

 

本人がいない場所で、家族同士がコミュニケーションをとっている場面を見聞きすることで、このような妄想へと発展してしまいます。

根底には、焦りや不安、もどかしさといった、認知症の方が抱えるストレスがあり、これが原因となってこのような妄想症状を引き起こすのだと考えられています。

 

適切に対処しなければ、本人は家族へ不信感や敵対心を募らせ、心を閉ざすだけでなく、攻撃的な態度をとるようになりかねません。

 

対処法

見捨てられ妄想の症状がみられる場合は、まず、本人への気持ちを言葉で伝えてあげてください。

そのうえで、日頃の生活においても、コミュニケーションの機会を増やすことが肝心です。

 

⑤幻覚(幻視)・幻聴

レビー小体型認知症や、脳血管性認知症が原因で引き起こされる妄想症状として特徴的なのが、幻覚・幻聴です。

 

幻覚・幻聴の症状が出始めると、「(実際には存在しない)人がいる・物がある」、「音や声が聴こえる」などと訴えるようになります。

また、なかには体感幻覚といって、「虫が身体を這っている」というように、皮膚感覚に異常をきたす場合もあります。

 

これらの症状が発現した場合、本人は多大な恐怖感、不安感に苛まれるため、奇声や暴力、暴言、破壊行動につながることも珍しくはありません。

 

対処法

暗いと幻覚が起こりやすいので、このような症状を呈する場合は、部屋を明るく保ちましょう。

また、ハンガーや絵画など、見間違うおそれのあるものは極力取り除くのが賢明です。

 

そのうえで、不安を取り除くために本人の話を聴き、寄り添ってあげてください。

 

帰宅願望

帰宅願望も、認知症の妄想症状の一つです。

 

帰宅願望は、文字通り「家に帰りたい」という激しい衝動を伴い、これによって徘徊をはじめとした異常行動が引き起こされます。

本人が抱える不安や恐怖が、この症状の主な原因と考えられています。

なお、実際には自宅にいたとしても、そこを「家ではない」と思い込むケースも少なくありません。

 

目を離した隙に一人で屋外へ出てしまうケースも多く、また、これを周囲の方が制止すると、パニックになったり逆上したりするというリスクもあります。

 

対処法

帰宅願望が現れた場合は、ご本人が帰りたいと思う理由をヒアリングしてみてください。

「帰ってはいけない」というように、行動を制限・禁止すると、かえって帰宅願望を増幅させかねません。

 

認知症の進行を遅らせるための習慣

認知症の進行を少しでも遅らせるために、日頃の生活習慣の改善は欠かせません。

ここでは、認知機能の維持や改善に効果が期待できる習慣を、食事、運動、コミュニケーションに分けて紹介します。

ご家族全員のQOLを上げるためにも、ぜひ今日から取り組んでみてください。

 

食事・生活習慣

健全な脳機能を維持するうえで、やはり栄養バランスのとれた食事は欠かせません

五大栄養素である、たんぱく質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルがバランスよく含まれている食事は、基本中の基本となります。

そのうえで、下記のような食品・成分は認知機能を向上させるという研究結果もあるため、可能な範囲で毎日の食事に取り入れたいものです。

 

認知機能の維持・向上に効果の期待できる食品・成分

  • EPA・DHA
  • ファイトケミカル
  • ツボクサ・イチョウなどのハーブ

 

EPA・DHAとは、青魚に含まれる不飽和脂肪酸のことで、血行を促進するほか、脳機能の底上げを図れることがわかっています。

 

また、ファイトケミカルは植物が作り出す、人間に有益な成分の総称であり、抗酸化作用や抗炎症作用を有します。

よく知られたものは、カテキン(緑茶)、クロロゲン酸(コーヒー)、クルクミン(ターメリック)、レスベラトロール(赤ワイン)、リコピン(トマト)などです。

ほかにも、ツボクサやイチョウには記憶力改善の効果が認められるので、サプリメントで摂取してみるのもよいでしょう。

 

一方で、下記の成分を含む食品や嗜好品は、認知症を悪化させるおそれがあるため、慎重に摂取したいところです。

 

認知症の発症リスクを上昇させるおそれのある食品・嗜好品

  • トランス脂肪酸
  • アルコール
  • たばこ

 

合成された油脂であるトランス脂肪酸は、全身の炎症を招き、脳へのダメージも大きいとされているため、極力摂取を控えるのが賢明でしょう。

 

また、過度な飲酒、喫煙は生活習慣病のリスクを上昇させ、そこから間接的に認知症への罹患リスクをも上昇させるため、十分な注意が必要です。

 

運動

無理のない範囲で、認知症の方に運動習慣も身につけさせてあげたいところです。

 

運動により、脳血管内の血流が増大するとともに、ドーパミンやセロトニンといった認知機能を向上させる各種ホルモンの分泌が活性化します。

また、これらのホルモンは、気分を落ち着かせ、認知症特有の不安や抑うつといった症状の改善、ひいては妄想症状の改善にも効果が期待できると考えられています。

 

ウォーキングやランニングといった軽い運動で問題ないので、本人の心身の状況を考慮したうえで、実践してみるとよいでしょう。

 

コミュニケーション

ひとたび認知症を患えば、家に閉じこもり閉鎖的になりがちなので、脳へ刺激を与えるという観点でも他者との交流、触れ合いの機会を設けてあげるとよいでしょう

 

他者と会話することで、脳へ適度な刺激を与えられ、機能の維持と向上に役立ちます。

また同時に、鬱屈した気分を晴らす効果もあるため、コミュニケーションをとる時間は積極的に設けてあげたいものです。

周囲との円滑な意思疎通が実現すれば、本人の不安や焦りも薄れ、被害妄想をはじめとした妄想症状の改善も期待できます。

 

自宅であれば、家族が意識的に会話の時間を作ってあげるだけでも効果的です。

また、ラジオ体操やゴルフなど、先述した運動とコミュニケーションの要素を併せもつアクティビティもおすすめです。

 

ほかにも、下記のようなレクリエーションに、ご家族、友人の方と一緒に挑戦してみるというのも、一考の価値があります。

 

認知症の予防に効果が期待できる遊び

  • テレビゲーム
  • 脳トレ
  • クイズ

 

これらの脳トレやゲーム、クイズを通じて、脳は多くの情報を処理することになり、普段の生活では使わない部位が活性化します。

また、ゲームやクイズにクリアした際には、ドーパミンという、やる気や幸福感を司るホルモンが分泌されるため、認知症の周辺症状の改善も可能です。

 

運動やゲームなどのアクティビティと組み合わせながら、他者との交流をもてるよう取り計らってあげれば、本人も周囲も無理なく健康を維持することができます。

 

認知症が疑われる場合は

認知症を早期発見し、治療することは、健康寿命の延長につながります。

 

そのため、妄想をはじめとして、疑わしい症状が認められる場合は、迷わず認知症のスクリーニング検査を受けましょう。

脳のMRI検査や認知機能テストをもとに、認知症に罹患しているかどうかを知ることができます。

 

適切な対策を講じ、治療を施して、認知症と上手に付き合っていきたいものですね。

 

認知症は激しい思い込み「妄想」を引き起こす

今回は、認知症の周辺症状として挙げられる、妄想症状について解説しました。

 

認知症により引き起こされる症状の一つに激しい思い込み、いわゆる妄想があります。

妄想は、認知機能の低下が主な原因であるほか、認知症に対する不安や焦りといったストレスも遠因となっていると考えられます。

また妄想には、嫉妬妄想や被害妄想などいくつかのタイプがあるので、それぞれに適した正しい対処を行うことが肝心です。

 

ルネクリニックでは、再生医療で認知症治療を提供しております。

ご家族、あるいはご自身の認知症でお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

 

 

①     治療方法

治療薬を鼻腔内に1滴ずつ垂らし、迅速に脳内に薬を届ける治療法です。

痛みはなく、仰向けの状態で30分程度の治療時間を要します。

 

②     副作用リスク

・アレルギー反応などを伴う場合がございます。

・妊娠中や妊娠の可能性がある場合は安全のため施術を受けることができません。

・本療法は医療水準として未確立なものであり、効果の点で不確実性を伴います。

 

③     連絡先

ルネクリニック 東京都千代田区大手町1-1-3 大手センタービル14階

TEL:03-6810-2295

 

④     費用

本治療は保険適用のない自由診療となります。

297,000円(税込)※診断により変動する可能性があります。

 

⑤     入手経路

治療薬には、ドナースクリーニングを2回相当実施した日本人の乳歯歯髄・臍帯由来の幹細胞を、特定細胞加工物製造許可施設にて培養・製造したものを用いています。

 

⑥     効能に関する国内の承認機器・薬剤の有無

効能に関する国内の承認薬剤はありません。

 

⑦     安全性に関する諸外国の情報

安全性に関する諸外国の報告はありません。※想定できないリスクがある可能性があります。

 

⑧     未承認である旨

この治療で使用される薬剤は医薬品医療機器等法上の承認を得ていない未承認薬です。

 

⑨     未承認薬・機器

未承認薬・機器には、公的救済制度(医薬品副作用被害救済制度・生物由来製品感染等被害救済制度)の適用はありません。

 

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