認知症に伴う失禁の原因とそれに対する対策を解説
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目次
認知症になると、その弊害として失禁の症状が現れる場合があります。
失禁は本人・介護者ともに、精神的な負担が大きいものです。
本人が心を閉ざしたり、家族が介護疲れを感じたりする原因にもなりえるため、可能な限り対策したいですよね。
そこで本記事では、認知症に伴う失禁の原因と、それに対する対策を解説します。
「認知症の家族の失禁を防ぎたい」とお考えの方は、ぜひ最後までご覧ください。
認知症の方が失禁する原因になる認知機能の異常
認知症の方の失禁には、脳の機能障害による認知機能の低下が関係しています。
ここでは失禁に関わる認知機能の異常を2つ紹介しますので、それぞれ詳しく見ていきましょう。
尿意を認識できなくなる
認知症がある程度進行すると、尿意を認識できなくなります。
認知症に起因する尿失禁は、“機能性尿失禁”とよばれます。
これは脳機能障害によるもので、理解力や判断力の低下が主な原因です。
そのため、「尿意を感じたらトイレに行く」「トイレ以外で排泄してはならない」といった基本的な判断ができなくなり、失禁につながります。
また尿意を認識できないことによって、なんの予兆もなく失禁する可能性があります。
対策は非常に難しいですが、家族が積極的にコミュニケーションをとって尿意を確認し、失禁を防ぐように努めてください。
トイレの場所がわからなくなる
認知症の方は、トイレの場所を忘れることがあります。
これも脳機能障害が原因で、今まで当たり前に認識していたことでも、急に理解できなくなる場合があるのです。
その結果、尿意を認識できてもトイレまでたどり着けず、失禁にいたります。
ただしこの問題は、本人にトイレへ行きたいという意識さえあれば、介護者が付き添うことで解決できます。
認知症の方が、トイレへの道がわからずに困っていないかを、普段から観察しましょう。
脳の機能障害以外で失禁する原因
失禁には、脳の機能障害以外にもいくつかの原因が考えられます。
代表的なものは、以下の通りです。
歩行障害
認知症の弊害として、“うまく歩けない”や“少し歩いただけで足腰が痛くなる”などの歩行障害が現れるケースは少なくありません。
こうなると、尿意とトイレの場所を認識していたとしても、歩けないことが原因で失禁するおそれがあります。
手をとって一緒に歩く・廊下に手すりを設置する・車椅子を用意するなど、歩行障害への対策をとってください。
前立腺肥大症
前立腺肥大症はその名の通り、前立腺が異常に肥大化する病気です。
主な症状は残尿感や頻尿ですが、尿失禁が起こる場合もあります。
また病気が進行すると、前立腺が尿道を圧迫することで、まったく尿が出なくなってしまいます。
そうなると腎機能障害や尿路感染症といった合併症のリスクが高まるため、早めに治療しておきたいところです。
パーキンソン病
パーキンソン病とは、情報伝達物質であるドーパミンの分泌量が減り、脳からの指令が身体に行き渡らなくなる病気のことです。
これによって膀胱への情報伝達が滞ると、尿意の認識に支障をきたします。
くわえて足への情報伝達が滞れば、歩行障害を引き起こし、失禁の原因になるかもしれません。
この病気を予防するには、毎日少しずつでも身体を動かすことが大切です。
無理のない範囲で、運動する習慣を身につけましょう。
利尿剤や薬物の使用
利尿剤を含め、薬物の副作用によって失禁が誘発されることもあります。
失禁を誘発する可能性がある薬物
- アルファ遮断薬
- プソイドエフェドリン
- 抗ヒスタミン薬
- カルシウム拮抗薬
上記の薬物を服用してから失禁の症状が見られるようになった方は、副作用を疑いましょう。
ただし副作用を防ぎたいからといって、自己判断で服用を中止するのは危険です。
失禁の話とあわせて、医師に相談してください。
失禁してしまったときの適切な対応
認知症の方が失禁してしまった時は、適切な対応を心がける必要があります。
失禁は介護者にとっての負担も大きいですが、一番ショックを受けるのは本人です。
そんなときに失禁したことを責められたり、怒られたりすれば、自尊心が深く傷つきます。
本人の心のケアのために、優しく冷静に接しましょう。
また、本人に対する言葉選びにも注意したいところです。
本人と話す際に“おもらし”や“失禁”のような言葉を使うと、自分がしたことをより強く意識させてしまいます。
直接的な表現を使わず、「何かこぼしちゃったみたいだね」と声をかけるなど、恥ずかしさを和らげる気遣いが大切です。
認知症による失禁を予防する方法
認知症による失禁は、工夫次第で予防できます。
ここからは、今すぐに実践できる方法を紹介していきますので、参考にしてください。
トイレに行きたい合図を見逃さないようにする
まずは、トイレに行きたいときのサインを見逃さないようにしましょう。
認知症の方が尿意を催しているとき、急にしゃべらなくなったりポケットに手を入れたりと、変わった行動をとる場合があります。
尿意のサインは人それぞれですが、普段と様子が違うと感じたら、トイレに行きたいかを聞いてみるとよいかもしれません。
トイレに行きたいと言いやすいようにする
トイレに行きたいという意思を、気兼ねなく伝えるように声をかけるのは、失禁の対策として有効な手段です。
認知症の方は、トイレに連れて行ってもらうことや、介護を受けることに対して、後ろめたさを感じている場合があります。
「トイレに行きたいけど恥ずかしくて言えない」という考えから、尿意を我慢してしまうかもしれません。
こういった事態を防ぐために、「トイレに行きたくなったときは遠慮しないで言ってね」など、意思を伝えやすくなるように声をかけてみてはいかがでしょうか。
トイレの場所を認識できるように工夫する
介護者が付き添えない場合のことも想定して、トイレを簡単に見つけられるように工夫しておくのがおすすめです。
具体例は、以下の通りです。
トイレの場所が認識しやすくなる工夫
- トイレのドアに“お手洗い”と目立つ張り紙をする
- トイレのドアを開けておき、便器が廊下から見えるようにする
- トイレのドアを明るい色に塗る
基本的には誰かがトイレに付き添うとしても、こういった工夫をしておいて損はありません。
張り紙やドアの色の意味を覚えてもらい、一人でもトイレに行けるようになるのが理想です。
ただし症状が進行して、これらの工夫が急に意味をなさなくなる可能性もあります。
そのため、いつでもトイレに付き添う準備はしておかなければなりません。
トイレに行くタイミングを決める
トイレに行く時間をあらかじめ決めておくことも、失禁の予防になります。
認知症の方が一日のどのタイミングで尿意を催すのか把握しておけば、適切な時間にトイレに行ってもらうことが可能です。
さらに、決まった時間にトイレに行くことで、その行動がルーティン化します。
当たり前にトイレに行くようになれば、失禁の頻度は大きく減るでしょう。
夜間に水分を摂取しすぎないように心がける
就寝の前に水分を摂取しすぎないようにすることは、失禁の予防に有効な手段の一つです。
夜間に必要以上の水分を摂ると、就寝中に尿意で目が覚めてしまう可能性があります。
そのとき介護者がトイレに付き添えればよいのですが、目が覚めた本人は「自分がトイレに行くために起こすのは申し訳ない」と感じてしまうものです。
夜間の失禁を防ぐために、水分の摂取量を調整しましょう。
またコーヒーや緑茶、コーラなど、利尿作用のあるカフェインが含まれる飲み物は、特に気をつけたいところです。
認知症による失禁には様々な原因があり、工夫次第で予防できる
本記事では、認知症に伴う失禁の原因と、その対策を解説しました。
認知症に起因する尿失禁は、機能性尿失禁とよばれています。
これは認知症の弊害である脳機能障害によるもので、理解力や判断力の低下が主な原因です。
機能性尿失禁は周囲のサポート次第で予防できるため、ここまでで解説したような対策を講じましょう。
また、前立腺肥大症やパーキンソン病など、認知症とは別の病気が原因で失禁することもあります。
その場合は自宅での対策ができないため、専門機関での治療が必要です。
ルネクリニックでは、再生医療を用いた認知症治療を提供しています。
失禁に限らず認知症でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
① 治療方法 治療薬を鼻腔内に1滴ずつ垂らし、迅速に脳内に薬を届ける治療法です。 痛みはなく、仰向けの状態で30分程度の治療時間を要します。 治療回数は1クールで4回、治療期間の目安は約1ヶ月間となっております。 ② 副作用リスク ・アレルギー反応などを伴う場合がございます。 ③ 連絡先 ④ 費用 ⑤ 入手経路 ⑥ 効能に関する国内の承認機器・薬剤の有無 ⑦ 安全性に関する諸外国の情報 ⑧ 未承認である旨 ⑨ 未承認薬・機器 |