【藤宮峯子院長Vol.4】間葉系幹細胞(MSC)で慢性炎症が治る理由
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ルネクリニック札幌院 院長 藤宮峯子より【間葉系幹細胞(MSC)で慢性炎症が治る理由】コラムを配信致します。
間葉系幹細胞は組織の修復力を高める細胞と書きましたが、具体的にどのように修復力を発揮するのでしょうか。
まずは、臓器における実質と間質の違いについて説明します。
実質は臓器特有の機能を営む部分で、
心臓なら心筋細胞、消化管なら消化管上皮細胞、肝臓なら肝細胞、腎臓なら腎尿細管細胞や糸球体の細胞などで、
細胞同士が整然と並んで臓器特有の形を作っています。
一方、間質はそれ自体に形はなく、実質の間を埋めている部分で、間質細胞が浮遊しています。
慢性炎症と言われる病態は、間質に炎症細胞(線維芽細胞、好中球、マクロファージなど)が溜まり、
線維芽細胞がコラーゲン線維を大量に産生して、間質が肥厚し線維でガチガチになっている状態です。
間質が肥厚し線維化すると実質細胞は機能を果たせなくなり、機能不全に陥ります。
間質性肺炎、肝硬変、慢性腎臓病などが典型例です。
間葉系幹細胞幹細胞療法は、一旦線維化を起こした状態を元に戻す治療です。つまり、最大のメリットは慢性炎症をもとに戻すことが可能になった点です。
間葉系幹細胞は、間質に溜まった炎症細胞を除去する事ができ、
炎症細胞が除去されれば、実質細胞の元になる幹細胞から自ずから実質細胞が生まれて来ます。
枯葉が落ちずに木の枝についたままの状態が慢性炎症で、間葉系幹細胞は、枯葉を落として新芽が芽吹くのを助ける働きをするのです。
つまり再生医療は、治療が困難な病気を治す期待が持てる、画期的な医療なのです。