怒りっぽいのは認知症のせい?因果関係や見分け方を解説
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目次
認知症を発症した方からは、怒りっぽくなる症状が見受けられます。
これまで温厚だったご家族が急に怒りっぽくなり「認知症かもしれない……」と、不安な気持ちを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで本記事では、怒りっぽくなることと認知症の因果関係を、認知症か否かの見分け方とともに解説します。
認知症は早期発見が治療のカギとなるため、先んじて対策できるように、ぜひ最後までご覧ください。
認知症とは
怒りっぽいことと認知症の因果関係を確認するまえに、認知症の概要を把握しておきましょう。
認知症とは、さまざまな脳の病気によって、脳の神経細胞の働きが低下している状態のことです。
原因となる脳の病気によっていくつかのタイプに分類され、代表的なものとして、「アルツハイマー型認知症」「脳血管性認知症」の二つが挙げられます。
アルツハイマー型認知症は、加齢や遺伝が主な原因であり、認知症のなかでもっとも発症率が高く、全体の70%を占めます。
脳血管性認知症は、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害によって、脳の一部が壊死することが発症の原因です。
発症率は認知症全体のなかで2番目に多く、20%程度を占めます。
なお、認知症の症状は、中核症状と周辺症状の2種類に分類されます。
中核症状とは、認知機能の低下によって、記憶障害や言語障害、見当識障害を引き起こした状態のことです。
一方で周辺症状は、中核症状がもととなって表れるもので、性格の変化や抑うつ、不安感などが症状としてみられます。
関連記事:認知症にはどのような症状がある?治療法もあわせて解説
怒りっぽくなることと認知症の因果関係
怒りっぽくなるのは、認知症の初期症状の一つで、“易怒性(いどせい)”といいます。
認知症のなかでも、アルツハイマー型認知症の症状として見受けられる傾向が強いです。
とはいえ、もともと短気な方や、環境的な要因でストレスが溜まり、怒りっぽくなる方もいらっしゃるので、易怒性がみられるからといって認知症と断定できるわけではありません。
次項から認知症か否かを見分ける方法をお伝えしますので、ご家族が認知症なのか心配な方は、そちらをご参照ください。
なお、本記事ではアルツハイマー型認知症に限定し、認知症か否かの判別方法や発症している方に易怒性がみられる原因などを紹介します。
認知症と怒りっぽい性格を見分ける方法
それでは、怒りっぽい性質が認知症の易怒性が原因なのか、もとの性格によるものなのか見分ける方法を、3つの項目から紹介します。
今まで怒りっぽい性格だったか
もともと短気な性格の方の場合は、判別が難しいですが、これまで怒らない方が急に怒りっぽくなったのであれば、認知症を発症している可能性があります。
認知症を発症したばかりの段階では、本人も失敗や物忘れが増えたことなどを実感し、自信を喪失しがちです。
怒りっぽくなるのは、これらの不安を隠すためだと考えられます。
認知症の場合は、自身の失敗を誰かに責任転嫁して怒る傾向があるので、注意深く確認してみましょう。
関連記事:認知症による暴力に周囲はどう対応する?対処法を解説
外出時でも怒るようになったか
外出時の誰が見ているかわからない環境で、怒るようになった場合は認知症が疑われます。
認知症の方は、前頭葉が委縮することによって、感情をコントロールする能力が乏しくなっています。
そのため、通常であれば怒りを抑えられる場面でも、周囲の状況を把握する余裕もなく怒ってしまうのです。
外出先で身内の方や周囲の方に対して怒りをあらわにするようであれば、認知症の疑いは強まります。
ほかに認知症の症状が出ていないか
怒りっぽくなった以外の面で、認知症の症状が出ていないかも確認してみましょう。
初期段階の認知症には、易怒性のほかに、以下のような症状が表れます。
認知症の主な初期症状
- 何度も同じことを話す・聞く
- 物をよく紛失する
- 以前はできていた料理や買い物に手間取る
- お金の管理ができない
- 周囲への関心が薄れる
上記の症状に当てはまる行動が見受けられるのであれば、認知症を発症している可能性が高いと考えられます。
認知症の疑いのあるご家族の行動を、今一度思い返してみてください。
関連記事:認知症になりやすい人の特徴にはどのようなものがある?
認知症の発症によって怒りっぽくなる5つの原因
ここでは認知症の方の症状に、易怒性がみられる主な5つの原因を紹介します。
感情のコントロールができない
前述したように認知症になると、前頭葉が委縮することによって、感情がコントロールできなくなり、怒りっぽくなります。
前頭葉は脳の前側に位置し、情動や感情の中心的役割を担う、大脳辺縁系の活動を制御しています。
その情動や感情を制御する機能が弱まることで、怒りの気持ちを周囲にぶつけてしまうのです。
周囲の状況を理解することが難しい
周囲の状況をうまく理解することができず、不安や焦りを抱いていることも、認知症の方が怒りっぽくなる理由の一つです。
認知症の症状には、記憶力が低下する記憶障害のほか、時間や場所の前後関係がわからなくなる見当識障害があり、これらの症状によって状況を把握するのが困難になります。
認知症の方は状況をよく理解できないことが原因で、以下のようなケースで怒る傾向があります。
認知症の方が状況を把握できず怒ってしまうケース
- なぜ介護されているのかわからず、介護者を受け入れられない
- 物を紛失し盗まれたと勘違いする
- 食事をとったことを忘れる
- 自宅がわからなくなる
上記のような場面に直面すると、不安や焦りを感じ、周囲に怒りをあらわにしてしまうというわけです。
身体の不調や自身の気持ちをうまく伝えられない
認知症を発症すると、自身の不調に気づきづらくなるうえ、他者に気持ちを伝えることが困難になります。
認知症の方は、感覚機能が低下しており、喉が渇いていることや部屋が暑いことなどを自覚できない場合も少なくありません。
たとえ不調に気づけたとしても、言語障害の症状によってうまく言葉にできないケースもあります。
その結果、周囲の人に自身の体調や、気持ちを伝えることができず、そのもどかしさによって腹を立ててしまうのです。
自尊心が傷つけられている
認知症になり、これまで当たり前にできていたことができなくなり、怒っている場合があります。
特に、記憶力が衰えていない初期段階では、できなくなった事実を自覚できるため、自尊心が傷つくことに直結します。
その現状を受け入れられず、自身の尊厳を守るために、横暴な態度をとってしまうというわけです。
内服薬による副作用が出ている
怒りっぽい症状は、内服薬の副作用によって引き起こされている可能性もあります。
認知症薬として使われるアリセプトは、症状の進行を遅らせることができる一方で、副作用として興奮や不穏、せん妄といった症状が報告されています。
特に高齢の方は、睡眠薬や胃薬など、薬を併用していることが多く、それにくわえて認知症薬を飲むと副作用が生じやすくなるので、飲み合わせには注意が必要です。
内服薬による副作用が原因と考えられる場合は、一度かかりつけ医や薬剤師にご相談ください。
認知症によって怒りっぽい方に対する正しい対応方法
大切なご家族が認知症を発症し、怒りっぽくなったとしても、できる限り穏やかに暮らしていきたいものです。
そこでここでは、易怒性の症状が表れている方に対する正しい対応方法を解説します。
共感・理解を示す
認知症の方の怒りを収めるには、否定したり訂正したりするのでなく、共感や理解を示し、話に耳を傾けて寄り添うことが大切です。
認知症の方が怒る理由は、記憶の欠如による思い込みといった根拠のないケースが多く、否定や訂正したくなることも少なくないでしょう。
しかし、怒っている認知症の方の話を否定や訂正しようとすると、ストレスから自身を守る意識を強めてしまい、状況を悪化させます。
まずは、相手の話を受け入れ、寄り添う意識をもって対応してみてください。
共感や理解を示すコミュニケーション方法として、「オウム返し」をおすすめします。
たとえば、外出時に認知症の方が、「行きたくなかったのに無理やり連れてこられた」と言ったら「無理やり連れてこられたんですね」というように返答します。
このように会話を続けていくうちに、肯定してもらえることで気持ちが落ち着き、認知症の方の怒りを収められるというわけです。
距離をとる
怒りによって暴言や暴力が始まり、話を聞いても落ち着かないのであれば、無理に怒りを収めようとはせず、距離をとることも大切です。
興奮状態の相手にどれだけ丁寧に対応したとしても、それが怒りを助長してしまい、怪我や事故につながるおそれがあります。
なお、暴言や暴力は、必ずしもケアに当たる方を傷つけようとしているわけではありません。
自身の身体が思うように動かないことや状況が把握できないことに不安を感じ、その事実に対して怒っている場合がほとんどです。
介護者のなかには、暴言や暴力を許容する方もいますが、実際に「相手を傷つけてしまった」という自責の念がストレスにつながるケースもあるので、距離をとるのが最適です。
専門家に相談する
上記で紹介した対応方法でも解決に至らない場合は、専門家に相談することをおすすめします。
たとえば、市区町村が設置主体の地域包括センターなら、高齢者の介護・福祉・医療などの相談窓口が開設されています。
認知症について熟知したケアマネージャーが在籍しており、ご家庭ごとに適した解決方法を提案してくれるでしょう。
認知症により怒りっぽい方へやってはいけない対応
ここからは認知症の方が怒っている際に、行ってはならない対応を紹介していきます。
感情的に言い返す
認知症の方に暴言を浴びせられ、傷ついたりイライラしたりということがあっても、感情的に言い返すことは避けるべきです。
言い返すことでより大きな喧嘩となり、認知症の方に強いストレスを与えるだけでなく、深い軋轢を生む可能性があります。
認知症が発症することで記憶力は低下しますが、ネガティブな記憶というのはなかなか消えないものです。
周囲の方にとっては大変かと思いますが、感情をグッとこらえて、できる限り丁寧に対応しましょう。
拘束する
認知症の方は、暴言に伴って暴れることもありますが、無理に拘束するのは危険です。
強いストレスを与えるとともに、怪我を負わせてしまうおそれがあります。
また、身体的な拘束でないにしても、部屋に閉じ込めることも得策とはいえないでしょう。
認知症の方は、このような対応に強い苦痛に感じ、かえって無理に外に出ようとしたり、部屋にて大声で叫んだりするなどの問題行動を起こしてしまうかもしれません。
認知症の方から自由を奪うような対応を行うのではなく、認知症について理解を深めて歩み寄ることが望ましいです。
関連記事:認知症の方との接し方|してはいけないこと・心がけること
突然怒りっぽくなるのは認知症の初期症状の可能性がある
本記事では、怒りっぽくなることと認知症の因果関係を、認知症か否かの見分け方とともに解説しました。
認知症の初期症状として、怒りっぽくなる症状の“易怒性”が見受けられます。
易怒性を引き起こす原因は、認知症によって感情が抑制できないことや周囲の状況把握が困難になったことなどが挙げられます。
なお、怒りっぽいのが認知症の易怒性によるものか否かは、ご本人のもとの性格やほかの症状の有無などが判別の際の参考になるでしょう。
ルネクリニックでは、認知症の方やそのご家族に寄り添った、再生医療による認知症の治療を行っております。
まずはカウンセリングで、易怒性を含めた認知症の症状に対する悩みをお聞かせください。
① 治療方法 治療薬を鼻腔内に1滴ずつ垂らし、迅速に脳内に薬を届ける治療法です。 痛みはなく、仰向けの状態で30分程度の治療時間を要します。 ② 副作用リスク ③ 連絡先 ④ 費用 ⑤ 入手経路 ⑥ 効能に関する国内の承認機器・薬剤の有無 ⑦ 安全性に関する諸外国の情報 ⑧ 未承認である旨 ⑨ 未承認薬・機器 |