【藤宮峯子院長Vol.5】生きる意味について
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ルネクリニック札幌院 院長 藤宮峯子より【生きる意味について】コラムを配信致します。
私たちは何のために生きるのでしょう?
普通の人は、深く考えることはないと思います。
しかし、重い病気にかかり医師から余命宣告を受けた人や、身体や心の苦痛に耐えられなくて、生きている事自体に意味を見出せないでいる人。
この人達に「何のために生きるのか?」と問われて、どう答えれば良いのでしょうか?
私は、どんな状況にあっても「生き抜くこと」が大事だと考えています。
生きている事に価値があるとか無いとかは自分で決められるものではなく、
生まれてくる事自体が自分でコントロール出来ないのですから、死ぬことも自分ではコントロール出来ないのです。
生きたくても生きられない人の事を考えれば、生きている事自体が如何に尊いものかが分かります。
戦争で爆弾を浴びて死ぬ人や、病気や怪我で急死する人、
この世に未練を持ちながらも命が絶たれてしまう人達に比べれば、命があることが如何に幸福かに気付くはずです。
生き抜くためには何が必要か。
アウシュビッツ強制収容所に捕えられながらも生還したユダヤ人精神科医のフランクルは、
極限状態にあっても「生きる希望」を持てた人は生き延び、希望をなくした人は死んでいったと言います。
どんな状態にあっても、希望をつなぐことはできるはずです。
暗黒のトンネルであっても、小さな光が見えるだけでどれほど勇気が湧いてくることでしょう。
医療者は、あくまでも人々に希望を与える存在でありたいと思っています。
たとえかすかな光であったとしても、少なくともそちらの方向に進めば出口があると示すことは出来ます。
後は、光の射す方向に向かって、自分の足で逞しく歩いて行くしか幸福になる方法はないのです。