コラム

認知症の予防におすすめの食事方法や食品を紹介

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認知症は、もはや国民病といっても差し支えない疾病の一つです。

その発症メカニズムの全容は解明されていないものの、遺伝や生活習慣など複数の要素が、複雑に絡んでいると考えられています。

 

本記事では、認知症の予防に効果的と考えられる食習慣や食品、栄養分を取り上げます。

健やかな老後生活を送るためにも、ぜひ本記事を参考にしてみてください。

 

認知症とは

 

認知症は、脳機能の低下により記憶力や判断力が鈍り、健全な日常生活に支障をきたす疾病の総称です。

代表的なものでは、脳神経の異常に起因するアルツハイマー型認知症や、脳梗塞・脳内出血などの脳血管の疾患を間接的な原因とする、脳血管性認知症が挙げられます。

 

認知症の発症を誘発させる遠因としては、飲酒や喫煙、偏った栄養バランスなどが知られています。

日頃の生活習慣は、脳機能にも、少なからず影響をおよぼしているというわけです。

 

認知症の予防に食事が重要視されている理由

 

認知症の発症リスクを抑えられるとして、さまざまな予防法が提唱されていますが、食生活の改善もそのうちの一つです。

 

では、なぜ良い食習慣が認知症の予防に効果的なのでしょうか。

 

アルツハイマー型認知症は、アミロイドβというたんぱく質が脳内に蓄積することが原因の一つと考えられています。

通常、このアミロイドβは体内で問題なく代謝、分解されるのですが、特定の栄養素の欠乏やその逆の過剰摂取が原因で、分解が滞ってしまいます。

その結果、アルツハイマー型認知症への罹患リスクが増大するというわけです。

 

また、脳血管性認知症の予防の観点からも、食生活は軽視できません。

脳血管性認知症の間接的な原因となる脳梗塞や、脳内出血をおこさないよう、健やかな血管を保ち、血液の循環を促進することが大切です。

そのためには、たとえば不飽和脂肪酸や、血管壁の材料となるコラーゲンなどのたんぱく質を、普段の食事で不足なく摂取するよう心がけましょう。

 

毎日の食事における具体的な注意ポイントや、認知症予防に効果が見込める食品については、次の段落以降で詳解します。

 

認知症の予防が期待できる食事方法

ここからはいよいよ、認知症予防の効果をもつと考えられる食事法についてお伝えします。

ぜひ、今日から気をつけてみてくださいね。

 

栄養バランスの良い食事

 

認知症に限らず、バランスの良い食事が健康維持のために重要なのは、周知の事実かもしれません。

ですが、「そうとわかっていてもなかなか実行には移せていない」という方も多いでしょう。

これを機に、今一度、毎日の食生活を見直してみませんか。

 

“バランスの良い食事”とは、五大栄養素である、んぱく質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルが過不足なく含まれている食事のことです。

 

特に現代人に不足しがちなビタミン・ミネラルをしっかりと摂取できるよう、野菜や果物を意識的に取り入れたいものです。

野菜や果物には、ファイトケミカルとよばれる植物由来の抗酸化物質が豊富に含まれており、これらには脳血管や脳神経の炎症を抑えるはたらきがあると考えられています。

 

海藻やナッツ類に含まれるミネラルは、欠乏すると体内の炎症を招き、認知症の遠因にもなりかねないため、こちらも積極的に摂取することを推奨します。

 

また、ダイエットのためとはいえ、糖質や脂質を極端に減らした食事は禁物です。

糖質は脳が活動するうえで不可欠なエネルギー源となりますし、脂質はしなやかな血管の維持に役立つほか、脳細胞を構成するリン脂質の材料にもなります。

そのため、これらの栄養素が欠乏すると、結果的に認知症のリスクが上昇すると考えられます。

 

改めて、日頃の食事の栄養バランスに着目してみましょう。

 

摂取カロリーを守る

 

摂取カロリーにも、注意を払いましょう。

たとえバランスの良い食事を心がけていたとしても、食べ過ぎていては、せっかくの努力の効果が損なわれてしまいます。

 

オーバーカロリーの食事によって引き起こされる肥満症が、アルツハイマー型認知症への罹患リスクを上昇させるという研究結果もあります。

さらに、食べ過ぎによる高血圧や糖尿病といった生活習慣病も、脳血管性認知症やアルツハイマー型認知症発症の遠因です。

 

栄養バランスのとれた食事はもちろん、食べる量も“腹八分目”を意識したいところです。

 

参照元:novo rordisk『肥満と認知症

 

 

塩分を控える

 

塩分の過剰摂取も、認知症の間接的な原因となりえます。

 

塩分の過剰摂取により引き起こされる高血圧が、先述した脳梗塞や脳内出血の引き金を引いてしまう場合があります。

 

健康食として世界的に名高い日本食ですが、みそ汁や漬物などには塩分が多く含まれているので、注意が必要です。

「塩分を摂りすぎたな……」という日は、塩分の排出効果を期待できるカリウムが含有される、バナナやリンゴ、海藻などの食品を食べるとよいでしょう。

 

糖分を控える

 

糖分(糖質)の過剰摂取にも気をつけてください。

 

糖分の摂り過ぎが認知症の原因となるメカニズムには、複数の経路があります。

 

まず、多量の糖分を摂取すると、血糖値スパイクとよばれる、血糖値の乱高下が起こります。

血糖値スパイクが日常的に発生するようになると、血管が脆くなり、先述した脳内出血などが引き起こされるのです。

また、糖を代謝する過程で発生する活性酸素やAGE(終末糖化産物)は脳細胞を傷つけて、認知症リスクを有意に上昇させます。

ほかにも、生活習慣病のトリガーとなるなど、糖分の過剰摂取は、脳機能にさまざまな悪影響を及ぼすという事実を覚えておきましょう。

 

認知症予防が期待できる食品

日頃の食事における注意点を押さえたところで、ここからは、認知症予防の効果をもつ可能性のある食品を7つ紹介します。

 

認知症の予防に効果が期待できる食品

  • 青魚
  • 緑黄色野菜・果物
  • コーヒー・緑茶
  • 納豆
  • オリーブオイル
  • カレー
  • 赤ワイン

 

ぜひ、献立の参考にしてみてください。

 

青魚

 

サバやイワシ、サンマなどの、いわゆる青魚には、低温でも凝固しにくい性質をもつEPAやDHAとよばれる不飽和脂肪酸が豊富に含まれています。

 

EPA・DHAは、血液の粘度を下げ、血流の改善に効果を期待できるほか、脳機能の維持に卓効があるという研究結果もあります。

 

これらの不飽和脂肪酸は、酸化していないものを摂取することが肝要です。

新鮮な青魚を生で食べるのが理想的ですが、難しい場合は真空調理されたサバの缶詰などもおすすめです。

ご自身で調理する際も、酸化を最小限に抑えるため、加熱のしすぎに注意しましょう。

 

参照元:糖尿病リソースガイド『DHAやEPAなどの不飽和脂肪酸の摂取量が多いと認知症予防につながる可能性 日本人高齢者をはじめて調査

 

 

野菜・果物

 

新鮮な野菜や果物には、抗酸化・抗炎症作用のある各種ビタミンが豊富に含まれています。

これらのビタミンは、脳血管や脳神経へのダメージの軽減、回復に効果を期待できます。

 

トマトに含まれるリコピン、たまねぎに含まれるケルセチンなど、一度はその名前を聞いたことがあるのではないでしょうか。

これらのファイトケミカルは、高い抗酸化作用を有しており、全身の細胞をさまざまなストレスから保護するはたらきをもつと考えられています。

 

各種ビタミン、ファイトケミカルは、野菜・果物によって含まれる種類が異なるので、多くの種類をバランスよく食べるのがポイントです。

 

コーヒー・緑茶

 

植物から作られるコーヒーや緑茶にも、ファイトケミカルが豊富に含まれており、さまざまなルートで認知症の発症を抑制すると考えられます。

 

コーヒーにはクロロゲン酸やトリゴネン、緑茶にはカテキンがそれぞれ含まれており、その高い抗酸化作用により、認知症の発症リスクを下げるとされています。

また、双方に含まれるカフェインにも脳の認知機能を向上させ、認知症の発症リスクを抑える効果があるようです。

 

くわえて、緑茶のうま味成分である、アミノ酸の一種テアニンは、脳内の神経伝達に関わっており、また、精神安定作用も認められています。

そのため、テアニンの摂取は認知症の予防に役立ちます。

 

納豆

 

健康食としておなじみの納豆も、認知症の発症リスクを有意に低下させる効果をもつ可能性が示唆されています。

 

納豆に含まれるビタミンKは、血液の抗凝固作用が認められており、全身の血流促進、血栓予防により、脳血管性認知症発症の間接的な原因となる脳梗塞の罹患リスクを下げます。

また、酵素のナットウキナーゼや、アミノ酸の一種ポリアミンといった成分は、動物実験において認知機能を改善する効果が示されました。

 

参照元:『「納豆」が認知症の予防に役立つ可能性 糖尿病の人にも勧めたい大豆食品

 

 

オリーブオイル

 

健康食として脚光を浴びている、地中海料理に欠かせないオリーブオイルも、認知症予防のカギを握っています。

 

含有される成分の一つ、オレオカンタールには抗炎症作用が認められており、ヨーロッパでは、のどの調子が悪いときにオリーブオイルでうがいをする民間療法があるほどです。

また、同じく抗炎症作用、抗酸化作用に優れたビタミンEも含まれています。

 

オリーブオイルの摂取が脳内のみならず全身の炎症レベルを低下させて、認知症の予防にもつながるというわけです。

 

カレー

 

カレーには、植物から作られるスパイスが豊富に含まれており、血行促進による脳機能の活性化や、血管の健康維持を通じて、認知症予防に役立つと考えられます。

 

カレーに欠かせないスパイス、ターメリックに含まれるクルクミンは、高い抗酸化力・抗炎症作用を有するファイトケミカルです。

多くの研究により、認知症の発症リスクの抑制効果が示唆されています。

 

参照元:新潟大学脳研究所『クルクミン誘導体によるアミロイドβ凝集体の解毒

 

赤ワイン

 

赤ワインの色は、ブドウの皮に含まれる色素、ポリフェノール由来ですが、このポリフェノールにも認知症を予防する効果が期待できます。

ポリフェノールは抗炎症・抗酸化作用に優れているため、脳血管・脳神経における炎症を抑える可能性があるためです。

 

『フランス人は脂肪を多く摂るのに、血管疾患による死亡率が低い』という、いわゆるフレンチパラドックスの背景にも、ポリフェノールのはたらきがあると考えられています。

 

認知症のリスクを増大させてしまうかもしれない食事

 

認知症予防の効果をもつ食品もあれば、その逆に、認知症のトリガーを引きかねない食品もあります。

認知症を予防する観点からは、下記のような食品は慎重に摂取したいところです。

 

認知症の発症リスクを上昇させるおそれのある食品

  • 動物性の油脂
  • マーガリン・ショートニング
  • アルコール

 

牛肉や豚肉に含まれる不飽和脂肪酸は、摂り過ぎれば生活習慣病をまねき、認知症の遠因ともなりかねません。

健康面でのメリットも多い成分ですが、くれぐれも摂り過ぎに注意したいところです。

 

また、マーガリンやショートニングに含まれるトランス脂肪酸は、細胞内の炎症を促進することから、認知症の発症リスクを上昇させると考えられます。

実際アメリカでは、トランス脂肪酸を多く含む製法で作られたマーガリンやショートニングの販売が法律で禁止されています。

毎日の食事においては、マーガリン・ショートニングの多量摂取を避け、また、これらを材料に含む菓子パン類の食べ過ぎにも注意したいところです。

 

そして、やはりアルコールです。

「お酒が大好きだ」という方は、改めて日々の酒量を見直してみてください。

多量の飲酒を長期間続けた場合、脳が委縮して認知症発症リスクを増大させることが明らかになっています。

くわえて飲酒は、認知症の間接的な原因である生活習慣病のリスクをも増大させかねないため、“お酒は適量”を守りたいところです。

 

食事以外にできる認知症の予防方法

 

最後に、食事以外で認知症の予防に有効であると考えられる日頃の健康習慣を紹介します。

 

認知症の予防に効果が期待できる習慣

  • テレビゲーム
  • 脳トレ
  • 有酸素運動

 

テレビゲームは、認知症の予防に有効です。

ゲームをプレーする際に、脳が多くの情報処理を行うことで、認知機能のトレーニングになるのです。

また、同様の理由でクロスワードや記憶トレーニングなども脳機能を維持し、認知症の発症リスクを抑える効果があります。

 

日々の生活においては、有酸素運動も取り入れておきたいものです。

運動することにより、脳内の側坐核が刺激され、脳のはたらきを高めるホルモンの一種、ドーパミンの分泌が促進されます。

また、有酸素運動は全身の血行を促進し、カロリー消費効果もあるため、認知症の遠因となる生活習慣病のリスクも下げられるのです。

 

食事のみならず、生活習慣を抜本的に見直して、老後も明晰な頭脳を維持したいものですね。

 

食生活を見直して認知症を予防しましょう

 

今回は認知症の予防をテーマに、その効果を期待できる食事・食品を取り上げました。

 

ひと口に認知症といっても、いくつかのタイプがあり、発症のメカニズムも異なります。

 

認知症を予防するうえでは、体内の炎症を抑えつつ、脳機能を高める効果のある食品・成分の摂取が推奨されます。

具体的には、青魚や野菜、緑茶やオリーブオイルなどです。

食生活にくわえて、脳トレや運動習慣も取り入れれば、さらなる予防効果を得られるでしょう。

 

ルネクリニック(https://renee-clinic.jp/)では、再生医療外来で認知症治療を提供しております。

ご興味のある方は、ぜひ一度ご相談ください。

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