認知症の予防に効果的なトレーニングを詳しく紹介
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日本では高齢化の進行を背景に、2025年には高齢者の約5人に1人が認知症になるといわれています。
このような状況から「自身や家族も認知症になるのではないか……」と不安に感じ、認知症の予防方法に関心をもたれる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで本記事では、認知症の予防に効果的なトレーニングを詳しく紹介します。
少しでも長く、健やかで楽しい日々を過ごしたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
参照元:厚生労働省「認知症対策について」
認知症とは
どのようなトレーニングが認知症予防に効果的なのか理解を深めるためにも、まずは認知症の概要を確認しておきましょう。
認知症とは、脳の病気や障害によって、認知機能が低下し、社会生活に支障をきたした状態のことです。
認知症を発症すると、中核症状とよばれる認知機能の低下をはじめとして、生活の質の低下や介護負担の増加をもたらす周辺症状がみられるようになります。
具体的な症状として、中核症状は記憶障害や言語障害、周辺症状はせん妄や抑うつなどが挙げられます。
どのような症状が生じるかは、認知症の種類や発症した方の性格などによって異なり、多種多様です。
なお、原因となる脳の病気や障害によって、認知症は主に以下の4つの種類に分類されます。
代表的な4つの認知症
- アルツハイマー型認知症
- 脳血管性認知症
- レビー小体型認知症
- 前頭側頭型認知症
なかでも一般的に知られているのは、アルツハイマー型認知症で、生活習慣病や加齢、遺伝が発症の原因と考えられています。
アルツハイマー型認知症の発症率は、認知症のなかでもっとも高く、全体の70%程度です。
次に多いのは、脳血管性認知症で、生活習慣病により脳梗塞や脳出血といった脳血管障害を引き起こした際、脳の一部が壊死することで発症する認知症です。
脳血管性認知症の発症率は、認知症全体の20%程度を占めます。
アルツハイマー型認知症と脳血管性認知症は、どちらも生活習慣病が原因の一つと考えられているため、生活習慣の改善が認知症予防のカギを握っています。
関連記事:認知症にはどのような症状がある?治療法もあわせて解説
認知症の予防の基本
認知症を予防するためには、以下の活動に取り組むことが効果的であると考えられています。
認知症の予防が期待できる取り組み
- 運動を習慣づける
- 知的活動を行う
- バランスの良い食事を摂る
- 日常的に他者とコミュニケーションをとる
- 睡眠時間を十分に確保する
以上のように、生活習慣の見直しや新たなことへの挑戦が脳の活性化を促し、認知症の予防につながるとされています。
次項では、このなかから運動習慣と知的活動に焦点を当て、おすすめの認知症の予防方法を紹介しますので、参考にしてください。
関連記事:認知症を予防するために今日からできる対策を徹底解説
認知症の予防に効果が見込めるトレーニング
それでは、どのような運動や知的活動が、認知症の予防につながるのか確認していきましょう。
これらの活動が認知症の予防に有効な理由とともに、おすすめのトレーニング方法を詳しく紹介していきます。
運動
適度な運動は、脳のはたらきを活性化させ、認知機能の向上を助けます。
身体が思うように動くのは、脳が適切に指令を出し、その通りに筋肉が動いているからです。
また、身体が動くことで感じた平衡感覚や触覚は脳に伝えられ、神経細胞が活発にはたらきます。
運動することは、これらの脳のはたらきを効果的に促進させ、認知機能を高め、ひいては認知症の予防につながるのです。
認知症の予防が期待できるトレーニングを、有酸素運動と無酸素運動に分けてお伝えします。
有酸素運動
有酸素運動は、比較的身体への負荷の少ない状態で、長時間継続して行うトレーニングです。
今まで運動してこなかった方にもおすすめの有酸素運動を、以下にまとめました。
認知症の予防におすすめの有酸素運動
- ウォーキング
- ジョギング
- ハイキング
- サイクリング
- エアロビクス
- ヨガ
- 水泳
以上のなかから、ご自身が無理なく楽しめる有酸素運動を行ってみましょう。
特にウォーキングは、歩くことができる道さえあればすぐに始められるうえ、身体にかかる負荷が少ないので、毎日の日課として取り入れやすい有酸素運動です。
背筋をしっかりと伸ばして腕を大きく振り、歩幅を広めに歩くと、よりトレーニングの効果が得られます。
なお、トレーニングの時間の目安として、WHOでは、65歳以上の高齢者に対し、1週間で150~300分の有酸素運動を推奨しています。
運動の習慣がない方は、最初からこのレベルのトレーニングを行うことを困難に感じるかもしれません。
まずは1日10分程度の短い時間から始め、体力がついてきたら徐々に運動する時間を延ばしてみてください。
認知症の予防においては、有酸素運動を継続するのが重要なため、無理のない範囲で行い、習慣化していくことが望ましいです。
参照元:世界保健機関(WHO)「身体活動と座りっぱなしの行動に関するWHOガイドライン」
無酸素運動
無酸素運動とは、筋力トレーニングやストレッチなど、短時間で身体に強い負荷をかけるトレーニングのことです。
認知症予防においては、“スクワット”“腕立て伏せ”“しこふみ”“背筋伸ばし”などがご自宅でも気軽に始められるのでおすすめです。
ここでは上記のなかから、スクワットのやり方を詳しく紹介します。
スクワットのやり方
- 足を肩幅の広さに開き、背筋を伸ばす
- 両手を前に伸ばす
- 息を吸いながらゆっくりと膝を曲げる
- 膝を曲げられるところまで腰を落としたら、息を吐きながらもとの姿勢に戻す
上述した一連の動作を、1日に10回×3セット行うことを目安に頑張りましょう。
スクワットは、脳を活性化させるだけでなく、下半身の筋力や体幹を鍛えられるため、転倒を防止する効果も期待できます。
ただし、スクワットに取り組む際は、膝や腰に強い負荷をかけることになるので、怪我を負わないように注意が必要です。
慣れないうちは、無理に腰を落としすぎないことにくわえ、壁や椅子などに手をつき、安全に配慮してスクワットを行ってみてください。
知的活動
知的活動とは、“本を読む”“絵を描く”“映画を観る”などの知的刺激を伴う趣味や余暇活動のことです。
知的活動を行うと、思考や記憶、判断することで脳が活性化し、認知症の予防につながります。
特に認知症の予防においては、脳の記憶力や集中力などを鍛える“脳トレ”に取り組むのがよいと考えられています。
認知症予防に効果的な脳トレ
- パズル
- 計算ドリル
- なぞなぞ・クイズ
- 後出しじゃんけん
- 手体操
上記のなかでも、パズルや計算ドリルは、一人でもできるため、容易に始めることが可能です。
ジグゾーパズルでは空間認識能力や想像力、クロスワードパズルであれば、記憶力や言語力を鍛えることができ、脳の活性化を促します。
また、計算ドリルでは、頭を使い問題を解くことで、達成感が味わえます。
認知症の予防では、一つの脳トレを続けて行うのではなく、さまざまな脳トレを取り入れ、脳に多様な刺激を与えるのが大切です。
パズルや計算ドリルをはじめとするさまざまな脳トレを、日常のすき間時間を利用して始めてみましょう。
認知症の発症リスクを上げてしまう生活習慣
ここまでは、認知症を予防する方法を確認してきましたが、反対にどのような生活習慣が発症のリスクを上げてしまうのでしょうか?
そこでここでは、認知症を発症させないために避けるべき生活習慣を紹介します。
不摂生な食事
糖分や塩分、脂質の多い食事は、糖尿病や高血圧といった生活習慣病にかかる可能性を高め、その結果認知症の発症リスクを上げるので注意しましょう。
糖尿病になると、アルツハイマー型認知症の原因とされる、アミロイドβというたんぱく質を分解する機能が弱まります。
また、高血圧は、脳梗塞や脳出血といった脳の病気を引き起こす要因なので、脳血管性認知症を発症しやすくなります。
これらの認知症の発症リスクを抑えるために、以下の項目から食習慣を見直しておきたいところです。
認知症の予防のために確認すべき食習慣
- 5大栄養素を摂取することを意識できた食事か
- 食事量は適量か
- 味付けは濃すぎないか
- 間食を摂りすぎていないか
以上の項目をもとに、ご自身の食習慣を思い返し、一つでも気になる項目があれば、改善を試みてください。
喫煙習慣
喫煙習慣も認知症の発症リスクを上げる要因の一つです。
タバコを吸うと、有害成分であるニコチンの血管収縮作用によって、血流が低下します。
その結果、脳への酸素の供給量が減少することで脳細胞が死滅し、認知症を発症するわけです。
また、喫煙習慣は認知症だけでなく、生活習慣病やがんなどの病気を引き起こす可能性もあるので、なんとしても改善したいところです。
タバコは依存性が強いため、禁煙することを困難に感じる方もいらっしゃるでしょう。
まずは、1日あたりに吸う本数を減らすことからはじめ、徐々に喫煙習慣をなくすように心がけてみてください。
なお、禁煙できる自信がない方、または過去に禁煙して禁断症状が強かった方は、医療機関で禁煙治療を受けるのも一つの手です。
過度な飲酒
過度な飲酒も、認知症を発症するリスクを高めるので避けたいところです。
アルコールは過剰に摂取すると、脳の萎縮や機能低下を招き、認知症を発症する原因となります。
したがって、認知症を予防するためには、適度な飲酒量に抑えることが求められます。
1日の適切な飲酒量は、以下の通りです。
お酒の種類ごとの1日の適切な飲酒量
ビール(5%※) | 500mL |
チューハイ(7%) | 350mL |
日本酒(15%) | 180mL |
焼酎(25%) | 100mL |
ワイン(14%) | 200mL |
ウイスキー(40%) | 60mL |
※平均的なアルコール度数
上記の飲酒量は、あくまで一般的な目安です。
たとえば、飲酒時に顔が赤くなる方は、身体にアルコールが残りやすく、脳の萎縮が進みやすいおそれがあります。
委縮した脳をもとに戻すのは困難なので、そのことを念頭に置いてお酒の摂取量を調整しましょう。
運動や知的活動を行い、認知症を予防しましょう
本記事では、認知症の予防に効果的なトレーニングを紹介しました。
認知症の予防においては、運動習慣を身につけ、知的活動を行い、脳の活性化を促すことが重要です。
運動する際は、有酸素運動と無酸素運動の両方を、無理のない程度の負荷から始め、徐々に習慣化していきましょう。
また、パズルや計算ドリルといった脳トレのなかから、ご自身が楽しめる知的活動を、日常生活に取り入れてみてください。
ルネクリニックは、再生医療によって、認知症の治療を行うクリニックです。
患者さまに寄り添った治療を提供することはもちろん、認知症予防に効果的なトレーニング方法も紹介していますので、ご来院をお待ちしております。
① 治療方法 治療薬を鼻腔内に1滴ずつ垂らし、迅速に脳内に薬を届ける治療法です。 痛みはなく、仰向けの状態で30分程度の治療時間を要します。 ② 副作用リスク ③ 連絡先 ④ 費用 ⑤ 入手経路 ⑥ 効能に関する国内の承認機器・薬剤の有無 ⑦ 安全性に関する諸外国の情報 ⑧ 未承認である旨 ⑨ 未承認薬・機器 |