認知症に起因する買い物時のトラブルを紹介
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認知症に罹患すると、日常生活のさまざまなシーンにおいて、問題が生じます。
具体的にどのようなトラブルが起こりうるのかを把握しておくことは、事前対策の準備につながり、認知症の発症に気づく助けともなるでしょう。
この記事では、認知症により引き起こされる、購買関連のトラブルや、その対策を紹介します。
認知症のご家族を守るためにも、ぜひご一読ください。
認知症の種類と症状
認知症に罹患すると、脳機能の低下にともない、“記憶”や“判断”といった健全な日常生活を送るうえで欠かせない認知機能が鈍り、日常生活に支障をきたしはじめます。
ひと口に認知症といっても、遺伝的要素の大きいアルツハイマー型認知症や、脳梗塞・脳内出血といった脳血管の疾患に起因する脳血管性認知症など、その種類はさまざまです。
典型的な症状は物忘れ、抑うつ、妄想などであり、これらは周囲とのトラブルの原因や、健全な日常生活を送るうえでの大きな障害となります。
なお、認知症の発症を誘発させる遠因としては、過度な飲酒や喫煙、栄養の偏った食事などが知られています。
認知症の弊害
認知症は、日常生活に下記のような弊害をもたらします。
認知症に起因する日常生活でのトラブル
- 物忘れ・なくし物が増える
- 簡単な計算ができなくなる
- 計画性を持って行動できなくなる
- 精神的に不安定になる(抑うつ)
- コミュニケーションが成立しない・些細なことで激昂する
- 道に迷う・徘徊する
- 服薬を拒否する
- 食事・排泄・入浴に支障をきたす
- 異常行動が見られる
日々の生活にどれくらいの影響があるのかは、認知症の進行度合いによって異なります。
初期段階では、物忘れやなくし物など、加齢にともなう一般的な健忘と見分けがつかない場合も多く、そこまで深刻なトラブルには発展しません。
しかし、症状が進行するにつれ、精神的に不安定になったりコミュニケーションがとれなくなったりと、徐々に認知症特有の症状が生活に影を落としはじめます。
さらに進行すると、徘徊や異常行動が増え、適切なサポートなく一人で日常生活を送ることが困難となります。
認知症の早期発見のためにも、ご家族の方の言動になにか異変がないか、注意深く観察しておきたいものです。
また、詳しくは後述しますが、ご家族に認知症の兆候が表れたら、日常生活に支障をきたす前に適切なケアやサポートの準備をはじめましょう。
関連記事:認知症による徘徊とは?家族を守る正しい対策方法を紹介
認知症による買い物関連のトラブル
認知症に起因する日常生活でのトラブルにはさまざまなものがあるなかで、ここでは買い物シーンにおける“よくあるトラブル”を紹介します。
お金に関わる問題だけに、ご家族も日頃から注意を払っておきたいところです。
認知症患者が起こしやすい買い物関連のトラブル
- 同じ物を買う
- 会計を忘れる
- 不要なサービス・高額商品を契約してしまう
それぞれの具体的な内容は、下記の通りです。
なお、対策方法は後述いたしますので、そちらをご参考ください。
同じ物を買う
認知症患者による、買い物関連のトラブルとしてよくあるのが、「同じ物を何度も買う」というものです。
たとえば、同じ号の雑誌・新聞を何度も買う、あるいは昨日買った食材を再度購入してしまうといった事例がそれにあたります。
これは、認知症による記憶力の低下が、主な原因です。
本人は、対象の品物を購入したことを覚えていないため、必要性を感じて複数回購入してしまうのです。
同時に、長年の習慣を無意識に継続してしまっているという面もあります。
会計を忘れる
商品を会計せずに、退店してしまうトラブルもよく起こります。
近年、無人レジが増えてきたことも、会計忘れの発生に少なからず影響しています。
これはもちろん、本人に悪気があっての行動ではなく、記憶力や判断力といった認知機能の低下が招く行動です。
「会計は済ませた」と思い込む、もしくはそもそも会計の必要性を認識できないというケースが大半でしょう。
とはいえ、はたから見れば窃盗に変わりはないため、後述する対策法を参考に、本人をサポートしてあげる必要があります。
不要なサービス・高額商品を契約してしまう
脳の認知機能が低下することにより、必要のない商品を購入してしまう、あるいは、訪問販売などで高額商材を家族の許可なく契約するというリスクもあります。
特に、悪質な訪問販売業者の口車に乗せられてしまうと、後々大きな金銭トラブルに発展しかねません。
このような購買行動をとってしまう背景には、認知症による判断力の衰えに、「○○しないと不安」という心理的な不安定さが追い打ちをかけているという状況があります。
ご家族の心理的なサポートにより、本人の不安を拭ってあげることが大切です。
認知症による購買関連のトラブルを避ける方法
買い物関連で失敗したからといって、本人を不用意に叱るのは禁物です。
叱責されると心理的なストレスが溜まり、認知症の抑うつ状態を悪化させるほか、思いもよらない行動の引き金となりかねません。
先述した、認知症による日常生活への影響を理解したうえで、適切な事前対策を講じ、本人に寄り添ってあげる心づもりが肝要です。
購買関連のトラブルを避ける方法としては、下記が挙げられます。
- 一緒に買い物をする
- 付き添いサービスを利用する
- 店員に協力を仰ぐ
- 「クーリング・オフ」や成年後見人制度を適用する(訪問販売・通信販売利用時)
それぞれ、実店舗へ買い物に行く場合と、訪問販売・通信販売を利用する場合に分けて解説します。
店へ買い物に行く場合
スーパーやコンビニでの買い物トラブルを回避する、もっとも簡単で確実な方法は、ご家族の方が買い物へ付き添ってあげることです。
「付き添うくらいなら私1人での買い物のほうが効率がいい!」と感じられる方もいるかもしれませんが、買い物自体は認知機能維持の観点から有効なのです。
買い物がてら歩くことはよい運動になりますし、ご家族・店員とのコミュニケーション、そして「何を買うか」「なぜ買うのか」といった思考も、脳への適度な刺激となります。
付添い家族としても、本人がどのような行動をとるのか、あるいは、どこまでであれば一人で対応可能なのかという基準をうかがい知ることができます。
同伴が難しいのであれば、買い物付き添いサービスを利用するのも一つの手です。
もちろん、なかには初期段階の認知症ゆえ、付き添いは必要ないと判断されるケースもあるでしょう。
このような場合でも、トラブルを未然に防止するために、「ご家族が認知症を患っており、本人の買い物時に可能な範囲でサポートして欲しい」旨を店側に伝えておくと安心です。
こうすることで、店側にも情報が共有され、トラブルを未然に回避できます。
訪問販売・通信販売の場合
訪問販売・通信販売におけるトラブルを防止する方法もあります。
消費者契約法に基づき、訪問販売において結んだ契約は、8日以内であれば無効化できることを知っておきましょう。
これは通称、「クーリング・オフ」とよばれます。
また、判断力が低下した本人に代わって契約行為等を行う「成年後見人制度」を利用するのも手です。
成年後見人制度を利用すれば、万が一本人が不要な契約を結んでしまっても、無効化できます。
起こりうる問題に前もって対策を講じておくことが、認知症によるトラブルを避けるための基本といえます。
ご家族の認知症が疑われる場合は早期検査と治療を
認知症の進行を遅らせ、健康寿命を延ばすには、認知症の早期発見と治療が非常に重要です。
そのため、日頃の生活のなかで、家族に少しでも異変を感じた場合は、迷わず認知症のスクリーニング検査を受けましょう。
この検査では、複数の診断をもとに、総合的に認知症への罹患有無を判定します。
実施する診断の具体例としては、脳のMRI検査や認知機能テストなどがあります。
関連記事:認知症の検査の種類や費用を詳しく解説
認知症による買い物時のトラブルを避けるために、適切な事前対策を講じましょう
今回は、認知症により引き起こされる買い物時のトラブルを中心に、その内容や事前対策を紹介しました。
認知症を発症すると、記憶力や判断力といった脳の認知機能が鈍るため、同じ物を買ってしまったり、会計を忘れたりといった症状が表れます。
これらのトラブルを避けるためには、買い物へ同伴するほか、店員の協力を仰ぐなどの事前対策が有効です。
認知症を早期発見し治療することは、QOLの向上につながるため、少しでも疑わしい場合は迷わず認知症のスクリーニング検査や治療を受けましょう。
ルネクリニックでは、再生医療による認知症治療も行っています。
諸症状でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
① 治療方法 治療薬を鼻腔内に1滴ずつ垂らし、迅速に脳内に薬を届ける治療法です。 痛みはなく、仰向けの状態で30分程度の治療時間を要します。 ② 副作用リスク ③ 連絡先 ④ 費用 ⑤ 入手経路 ⑥ 効能に関する国内の承認機器・薬剤の有無 ⑦ 安全性に関する諸外国の情報 ⑧ 未承認である旨 ⑨ 未承認薬・機器 |