認知症による独り言の特徴や対処法を紹介
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目次
認知症の周辺症状の一つとして、“独り言”が挙げられます。
しかし、その独り言が認知症によるものなのか否かについては、判断が難しいですよね。
認知症による独り言の特徴を知っておけば、適切な判断を下せるとともに、認知症の兆候を見逃すことなく、早期の対処につなげられます。
この記事では、認知症特有の独り言の特徴や対処法をお伝えします。
ご家族をうまくサポートするためにも、ぜひ最後までお読みください。
認知症と独り言の関係
認知症の症状が進行すると、記憶力や判断力といった認知機能が鈍り、日常生活にも支障をきたすようになります。
認知機能が低下することによって生じる影響は広範囲にわたり、その一つとして独り言という症状が発現します。
ただし、独り言が増えたからといって、認知症だと断定するのは早計です。
認知症と独り言のあいだに因果関係は認められるものの、イコール関係ではないため、慎重な判断が求められます。
事実、健常者であっても、独り言をつぶやくことはあるものです。
通常の独り言と、認知症による独り言を見分ける際の判断基準として、その頻度に着目してみてください。
1日に1~2回程度の独り言なら概ね問題ないものの、これを超えてくる場合は、認知症への罹患が疑われます。
なお、認知症による独り言の特徴やパターンは後述します。
認知症による独り言の特徴
認知症による独り言には、一体どのような特徴があるのでしょうか?
ここでは認知症の周辺症状である独り言の、典型的なパターンを4つ紹介します。
ご家族の言動に思い当たる節がないかどうか、参考にしてください。
同一の単語を繰り返し発する
ご家族が、特定の単語や、単語を羅列したフレーズを繰り返しつぶやいていないか、注目してみましょう。
上記にあてはまる場合は、認知症による独り言の可能性が少なからずあります。
認知症による独り言の場合、これらの単語やフレーズは意味をもたないため、周囲の人間は理解に苦しむこととなります。
夜間になると増える
認知症によって引き起こされる独り言は、夜間になるとその頻度が増えるのも特徴的です。
日中はまったく独り言をつぶやかないか、頻度は低いものの、周囲が寝静まる時間帯になると一転してぶつぶつと何かを喋る傾向が認められます。
誰かと対話しているように振る舞う
まるでそこにほかの人間がいるかのような振る舞いが見られる場合も、要注意です。
このタイプの独り言は、傍から見れば、第三者と会話をしているように映ります。
これは先述した、意味を成さない単語の羅列とは異なり、一見すると正常なコミュニケーションをとっているように見えるパターンです。
しかし、よく聞いてみると現実に即しておらず、支離滅裂な場合が多いため、独り言の内容にも注意を払ってみましょう。
物を探しながらつぶやく
探し物をしながらぶつぶつとつぶやくパターンは、ただの独り言との区別がつきにくいタイプといえます。
認知症によるものなのかどうかを見分ける際は、先ほどもお伝えしたようにその頻度が判断基準の一つとなります。
一日のなかで、1~2回程度であれば、そこまで心配する必要はないでしょう。
しかし、それを超えて、頻繁にそのような言動が見られる場合は、認知症の初期症状である可能性が濃厚です。
独り言を発する原因
認知症に起因して、独り言の症状が発現するメカニズムは複雑であり、理由も一つではありません。
たとえば、夜間に増える独り言の背景には、往々にして、本人の不安が隠れています。
不安を紛らわそうとする心理的な反応の一つが、独り言として表れるというわけです。
また、認知症により、認知機能の一つである記憶力が低下することも、独り言の遠因となります。
過去の出来事を思い出せないもどかしさがストレスとなり、発症するパターンです。
このほかにも、レビー小体型認知症や、せん妄がトリガーとなる場合も多く見られます。
レビー小体型認知症とは、いないはずの人間や、ないはずの物が見える“幻視”症状が顕著に表れます。
先述した、“誰かと会話しているような独り言”が多いのであれば、それはもしかするとレビー小体型認知症により引き起こされているのかもしれません。
また、心身の不調に起因して発生する意識障害を指す“せん妄”も、独り言の症状を誘発する原因の一つです。
このせん妄による独り言は、つじつまが合わないこと、夜間になると独り言が増えることなどを特徴とします。
このように、認知症が独り言を引き起こす仕組みは多岐にわたり、然るべき対応も異なります。
“独り言=認知症”と捉えて、一緒くたに括ってしまうのは禁物です。
症例の一つひとつを丁寧に観察したうえで、とるべき対応を考える必要があります。
認知症による独り言への対処法
ここからは、認知症による独り言への対応方法をお伝えします。
ご家族の認知症と、うまく付き合うための参考になさってください。
怒らない・正さない
ご家族の独り言が多くて気に障るからと、頭ごなしに叱るのは無論、訂正するのも避けたいところです。
たしかに、四六時中ぶつぶつ言葉を発していたり、支離滅裂な内容を話していたりするのを聞けば、気が立ってしまうこともあるでしょう。
しかし、だからといって本人に対して感情的にあたってしまうと、本人はよりストレスを溜め込むこととなり、抑圧された感情が、症状を悪化させるおそれもあります。
そして、本人が逆上して言い争いとなれば、本人との今後の関係性にもひびが入りかねません。
認知症による独り言がみられた場合は、本人への理解を示しつつ、寄り添ってあげる姿勢が大切です。
簡単なことではありませんが、こうすることが症状を悪化させないための好手なのです。
生活リズムを整える
生活リズムを整える工夫も、重要です。
とりわけ、不安や夜間せん妄に起因して夜に増える独り言は、生活リズムの乱れに端を発しているケースが多く見受けられます。
昼夜が逆転した生活が続けば、独り言のみならず、徘徊をはじめとした認知症の周辺症状の数々を誘発しかねません。
これを避けるためにも、本人の規則正しい生活をサポートしてあげる必要があります。
起床時間や就寝時間を固定したうえで、朝日を浴びる、散歩する、夜間帯は部屋の明かりを落とすなどの工夫により、本人の生活リズムを整えることが可能です。
生活リズムが整えば、夜間には自然と副交感神経が優位となるので、興奮や不安が抑えられて、これらに起因する独り言も自ずと減少するでしょう。
規則正しい生活は、認知症の諸症状の緩和にも有効なのです。
安心できる生活環境をつくる
生活環境を整えて、不安を取り去ってあげることも欠かせません。
これまでもお伝えした通り、独り言をはじめとした認知症による諸症状は、多くの場合、本人が抱える心理的な不安やストレスに起因しています。
たとえば、部屋が薄暗かったり、人影に見間違う物体や写真が室内にあったりすると、本人の不安を助長してしまいます。
そのため、部屋が暗い場合は照度を上げつつ、不要な物を撤去して、本人が快適に暮らせるよう、生活環境の整備に努めましょう。
体が温まる物を渡す
独り言の症状が激しい場合は、ご本人の逆立った感情をなだめるために、温かい飲み物を渡してあげるのも一案です。
温かい飲み物を飲むことで、昂った神経を鎮めて、リラックスさせる効果を期待できます。
副交感神経が優位になることで、本人の不安や興奮がなくなり、独り言が治まるケースも多くあります。
飲み物としては、ホットミルクやココア、緑茶がおすすめです。
牛乳に含まれるトリプトファンは、気分を安定させるセロトニンや、入眠を促すメラトニンといった、内分泌ホルモンの材料となります。
また、ココアに含まれるGABAや、緑茶に含まれるテアニンは精神安定作用を有するため、気分を落ち着かせる効果がより高いといえるのです。
介護者の心構え
ここまで、認知症を患う方にどのように接するべきかという視点で解説してきましたが、同時に、介護者自身がもっておくべき心構えについてもお伝えしておきましょう。
独り言にとどまらず、認知症が引き起こす一連の症状は、サポートする側の心身をすり減らしていきかねません。
大切なのは、介護するにあたり、そのすべてをご自身だけで受け止めようとしないことです。
とりわけ、頼れる人間がそばにいないケースで、一人で介護を続ければ、肉体的・精神的な負担が蓄積して、自らの健康にも影を落とすこととなります。
このような事態を防ぐためにも、自分の“避難所”をもっておきたいものです。
認知症の家族をもつことの大変さを共有したり、相談したりできる仲間・コミュニティを探して、一度足を運んでみるとよいでしょう。
また、必要に応じて福祉の手を借りることも視野に入れてください。
介護サービスでは、プロが相談に乗ってくれるので、精神的に大いなる助けとなります。
ほかにも、デイケアや滞在型のサービスに切り替えれば、負担を軽減することが可能です。
すべてを抱え込まずに、適宜周囲にS.O.Sを求めるのも、介護者に求められるスキルの一つといえます。
そのほかの認知症の症状・行動
認知症によって発現する症状はなにも、独り言だけではありません。
認知症を発症すれば、ここでお伝えするような、多くの周辺症状を呈します。
独り言以外にも、あてはまるものがあるのであれば、認知症への罹患が濃厚といえるでしょう。
最後に、独り言以外の、認知症の代表的な諸症状を5つ紹介します。
独り言とあわせて、認知症への罹患有無を判断する際の基準としてお役立てください。
物忘れ・記憶の喪失
物忘れを典型的な初期症状とするアルツハイマー型認知症をはじめとして、認知症では記憶の喪失が顕著に見られます。
なお、ひと口に記憶の喪失といっても、その症状は多岐にわたります。
直近の出来事を忘れてしまう物忘れに始まり、人の名前や言葉の意味を忘れてしまうもの、昔の出来事すら忘れてしまうものまで、失われる記憶の範囲や程度はさまざまです。
記憶が失われることによる不安から抑うつ状態となったり、異常行動の引き金になったりと、連鎖的に周辺症状を引き起こすきっかけともなります。
健忘と見分ける際は、物忘れの頻度や、“忘れた事実に思い至ることができるかどうか”といった点に着目してみてください。
そのうえで、認知症への罹患が疑わしい場合は、医療機関で認知症のスクリーニング検査を受けることをおすすめします。
不安・抑うつ
不安や抑うつ症状を呈するのも、認知症の特徴の一つです。
これらは、認知機能の低下という直接的な原因にくわえ、今までできていたことができなくなっていく焦りやもどかしさなどにより、副次的に引き起こされます。
不安や抑うつの症状の悪化は、後述する問題行動のトリガーともなるため、できる範囲での対応策を講じたいところです。
これらの心理不調は、規則正しい生活や運動、他者とのコミュニケーションによって改善できることも少なくありません。
一例として、ほかの入所者と一緒に運動やゲームなどのレクリエーションを楽しめるデイケアサービスは、本人のメンタルを向上させる効果が期待できるでしょう。
妄想
妄想も、認知症によって引き起こされる典型的な症状のうちの一つです。
周囲の人間が自分の物を盗んだと思い込む“物盗られ妄想”や、パートナーが浮気していると思い込む“嫉妬妄想”、第三者に狙われていると思い込む“見間違い妄想”などがあります。
いずれも、本人の思い込みが強く、それが誤りであると訂正することにより、本人が激昂してしまうケースも少なくありません。
不安や焦りなど、根底にある本人の心理への理解に努めつつ、共感を示して寄り添ってあげる姿勢が大切です。
そのうえで、本人の攻撃的な言動が目立つようであれば、状況に応じて福祉のサポートを受けることも検討してみてください。
徘徊
認知症患者に見られる行動のなかでも、危険を伴い、周囲を悩ませているものの一つに徘徊があります。
徘徊は、勝手に自宅から外へ出て、家の周囲を歩き回る行動です。
身分を確認できる物を身に着けずに外出するケースも多く、ひとたび迷子になれば自宅へ戻れずに、行方不明となるケースも珍しくありません。
徘徊は、心理的な不安や、時間・場所がわからなくなる見当識障害を直接的な原因として引き起こされると考えられています。
事故や事件に巻き込まれるリスクも高いため、徘徊防止用の鍵を取り付けるほか、本人へGPSを装着させることなどが対処法として挙げられます。
暴言・暴力
認知症が進行すると、暴言や暴力といった問題行動が見られるようになります。
もともと温和な性格であっても、認知症によって怒りっぽくなり、周囲へ攻撃的な態度をとるようになるというのは、よくあることです。
このような行動の背景にも、今までできたことができなくなっていく本人のいら立ちや不安などが隠れています。
これまでお伝えしたように、状況への理解を示しつつ、本人を刺激しないよう留意するのが基本です。
そして、ご自身の身に危険を感じるようであれば、無理に介護を続けずに、専門家へ相談してみてください。
認知症による独り言を見分けるには、その頻度に着目するのがポイント
今回は、認知症による独り言を取り上げつつ、その特徴や対処法をお伝えしました。
ご家族が1日に複数回、独り言をつぶやいている場合は、認知症への罹患が疑われます。
認知症による独り言には、特定の単語の羅列を繰り返しつぶやく、あるいは誰かと会話しているように話し続けるといった特徴があります。
このような症状が認められたら、本人が安心できる環境づくりに努めたうえで、必要に応じて医療機関での検査や治療を検討してみてください。
ルネクリニックでは、再生医療による認知症治療を提供しております。
認知症を患うご家族をお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。
① 治療方法 治療薬を鼻腔内に1滴ずつ垂らし、迅速に脳内に薬を届ける治療法です。 痛みはなく、仰向けの状態で30分程度の治療時間を要します。 治療回数は1クールで4回、治療期間の目安は約1ヶ月間となっております。 ② 副作用リスク ③ 連絡先 ④ 費用 ⑤ 入手経路 ⑥ 効能に関する国内の承認機器・薬剤の有無 ⑦ 安全性に関する諸外国の情報 ⑧ 未承認である旨 ⑨ 未承認薬・機器 |