認知症が一気に進む原因は?進行を遅らせるための対策を解説
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認知症の進行スピードには個人差があり、緩やかに進む方もいれば一気に症状が悪化する方もいます。
つい最近までなんともなかったご家族に急激な変化が見られたら、どのように対応したらよいか、戸惑ってしまうものです。
そこで本記事では、認知症が一気に進んでしまう原因や、進行を遅らせるためにできることを解説します。
認知症への理解を深めるための情報を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
認知症とは
認知症とは、なんらかの原因で脳に変化が起こり、認知機能が低下した結果、社会生活に支障をきたしている状態のことです。
認知症の発症リスクは、年齢を重ねるごとに高まります。
実際に高齢化が進むにつれて認知症の方の数は増えており、厚生労働省の研究によると、2025年には日本の高齢者の約5人に1人が認知症になると予測されています。
参照元:厚生労働省「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」
https://www.mhlw.go.jp/content/001061139.pdf
認知症が一気に進む原因
認知症は、前触れなく、一気に進む場合があります。
症状の進行にはさまざまな理由が考えられるため、まずは原因を特定し、適切に対処することが重要です。
ここでは、代表的な7つの原因を紹介します。
①脳への刺激の不足
認知症が一気に進む原因としてまず考えられるのは、脳への刺激の不足です。
脳は適度な刺激を受けることで活性化し、健康な状態を維持できます。
刺激が不足すると脳のはたらきが低下し、認知症が急速に進行してしまうのです。
たとえば、外出する機会が少なく活動が制限されると、脳への刺激が減少します。
寝たきりの生活を送っている方や、過度なサポートを受けている方は、自主的な行動の機会が失われるため、脳の機能が衰え、認知症が一気に進行すると考えられます。
それを防ぐには、日常生活で脳を使う機会を増やし、できる限り本人が自身で行動できる場を提供することが重要です。
②過度なストレス
反対に、刺激を受けすぎても認知症の進行を加速させるおそれがあります。
過度のストレスが蓄積すると、コルチゾールというホルモンが分泌され、記憶力・集中力の低下や、感情の不安定を引き起こします。
コルチゾールは、生きていくうえで必須のホルモンではあるのですが、過剰に分泌されると認知症が進行するため、注意しなければなりません。
特に生活の変化に伴うストレスは、認知症を進行させる大きな要因になりえます。
周囲の人たちは、リラクゼーションや気分転換の機会を設け、本人のストレスが軽減される環境を整えてあげるとよいでしょう。
③失敗を責められること
認知症の方にとって、ミスを責められることは大きな心理的負担となります。
認知症の影響で日常生活における失敗が増えるのは、仕方がないことです。
過度にそのミスを責められると、自尊心が傷つき、行動する意欲が低下してしまいます。
そうしたことを繰り返しているうちに、本人が活発に行動しなくなり、脳のはたらきがさらに衰えてしまうのです。
認知症の進行を防ぐには、この病気を正しく理解してサポートする姿勢が求められます。
家族や周囲の人たちは、失敗に対して過度に反応せず、何より思いやりをもって接するのが大切ということを忘れないでください。
④急な環境の変化
急な環境の変化は、認知症の進行を加速させる大きな原因です。
入院や施設への入居、引っ越しなどで生活環境が一変すると、日常のリズムが崩れ、脳への刺激が減少します。
特に入院中は、家事や外出の機会がなくなり、ベッドで過ごす時間が増えることで、脳機能が低下しやすくなります。
また、身近な人の死に接することや、新しい同居環境に適応できずに孤立感を深めることも、認知症を悪化させる要因です。
急な環境変化が避けられない場合は、家族や介護者が適切にサポートし、安心できる環境を整える必要があります。
⑤考える機会の減少
考える機会が減少することも、認知症の進行防止の観点からは良くありません。
認知症になると、記憶力や判断力が低下し、日常生活で自ら考え行動する機会が減ってしまいがちです。
だからといって、料理や掃除などの家事をすべて引き受けたり、家計の管理を代わりに行ったりと、家族が過度にサポートするのは控えてください。
こうした状況が続くと、考える力がますます衰えて脳への刺激が不足し、認知機能の低下を招いてしまうからです。
サポートの加減を見極め、適度に本人自身が考えて行動できる環境を整えると、脳の活性化を促し、認知症の進行を遅らせることが期待できます。
⑥行動の制限
行動が制限されることもまた、認知症が一気に進む原因の一つです。
入院や自宅での介護中に、治療や安全を優先して本人の行動を制限しすぎると、不自由さから意欲が低下し、脳への刺激が減少します。
入院中は活動範囲が狭まりがちで、脳のはたらきが衰える可能性があります。
自宅で介護している場合も、家族が過保護に扱うと本人の自主性が失われ、認知機能の低下を招いてしまうのです。
そのため、行動を完全に制限するのではなく、誰かが付き添うなどして、可能な範囲で自由に動ける機会を増やすことが大切です。
⑦ほかの病気の発症
ほかの重篤な病気の発症を機に、認知症の進行が一気に加速するケースもあります。
たとえば、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害は、脳細胞の損傷を引き起こし、認知症の症状を急速に悪化させる可能性があります。
脳の小さな血管が詰まる“無症候性脳梗塞”では、目立った症状が表れにくいため、認知機能が低下していくことに気づけないかもしれません。
また、慢性硬膜下血種や甲状腺機能低下症も、発症すると認知症に似た症状を引き起こすことがあります。
これらは早期に治療を行うことで症状が改善するため、“治療可能な認知症”として知られています。
認知症の種類別の進行速度
認知症にはいくつかの種類があり、それぞれ進行速度が異なります。
代表的な認知症の特徴と進行速度は、以下の通りです。
認知症の種類別の進行速度
種類 | 原因 | 特徴 | 進行速度 |
アルツハイマー型認知症 | 脳(海馬)の萎縮 | 認知症のなかで、 もっとも多い |
長い年月をかけて 徐々に進行 |
脳血管性認知症 | 脳卒中 (脳出血・脳梗塞など) |
脳卒中を起こした 脳の部位によって症状が異なる |
血管の状態の悪化に伴い 段階的に進行 |
レビー小体型認知症 | レビー小体の蓄積 | パーキンソン症状を引き起こす | 個人差が大きい |
前頭側頭型認知症 | 脳(前頭葉・側頭葉)の萎縮 | 行動や人格が大きく変化する | 徐々に進行 |
特に注意しなければならないのは、脳卒中が原因で発症する脳血管性認知症です。
脳血管性認知症は、脳の血管が詰まったり破れたりしたときに、一気に進行します。
それ以外の認知症も、進行速度には個人差があるため、家族や周囲の人たちが早めに気づいて病院に連れていくことが大切です。
認知症の進行を遅らせるためにできること
ここからは認知症の進行を遅らせるためにできる、4つの対策を紹介します。
どれも簡単に実践できるものなので、ぜひ日常生活に取り入れてみてください。
①有酸素運動を生活に取り入れる
有酸素運動は、認知症の進行を遅らせるために非常に効果的です。
ウォーキングや水泳といった運動は、脳への血流を増やし、認知機能を活性化させます。
特にウォーキングは手軽に始められるため、日常生活のなかで続けやすいはずです。
有酸素運動を取り入れる際は、無理をせず、継続的に行うことが重要です。
短時間でも日常的に運動すると、認知症予防に大きな効果が期待できます。
②生活習慣を見直す
規則正しい生活は、認知症の進行を防ぐために非常に大切です。
起床・就寝・食事を毎日同じ時間にすると、心身のリズムが整い、脳に良い影響を与えられます。
生活リズムが乱れて昼夜が逆転すると、本人・家族ともに、体力的にも精神的にも疲弊してしまいます。
朝は日光を浴びてセロトニンの分泌を促進し、昼には軽い運動を取り入れることで、夜に質の良い睡眠が得られる環境を作りましょう。
また、栄養バランスのとれた食事も、認知症予防に役立ちます。
③認知機能を向上させるトレーニングを実施する
認知症の進行を遅らせる方法としては、認知機能のトレーニングも挙げられます。
塗り絵や習字、パズルなどは、日常的に行える簡単な作業で脳を刺激できます。
実際の医療現場でも非薬物療法の一環として実施されているので、無理なく楽しく続けられる方法を選び、取り入れてみるのはいかがでしょう。
また、家族と一緒に料理をしたり、趣味を楽しんだりすることも効果的です。
五感を刺激する活動は、認知症の進行を遅らせ、生活の質を向上させます。
④聴力の低下を防ぐ
聴力の低下や難聴も認知症につながるおそれがあるため、対策が必要です。
聴力が低下すると、耳から外部の情報を得られなくなり、脳の機能が衰えて認知症に発展するリスクが高まります。
会話で聞き返すことが増えたり、話が食い違うようになったりと、聴力に不安が感じられる場合は、補聴器の活用がおすすめです。
耳鼻咽喉科の受診後に、本人の聴力に合わせて、適切なタイプを選択できます。
家族や周囲の人たちができること
認知症の進行を遅らせるためには、家族や周囲の人たちによる適切なサポートと配慮が欠かせません。
まずは本人の気持ちに寄り添い、不安や恐怖を和らげることが大切です。
「もう何もできない」と思わせないよう、先回りしてすべてをサポートするのではなく、本人の自主性を尊重し、できることは自分で行ってもらうのが望ましいでしょう。
また、認知症の初期症状や変化に気づいたら、速やかにかかりつけ医を受診することが重要です。
たとえば「以前より攻撃的になった」「トイレの失敗が増えた」といった変化があれば、認知症の進行を遅らせるための適切な対応が求められます。
かかりつけ医からは、認知症の検査や専門医への紹介を受けられることもあります。
どの病院を受診してよいかわからない場合は、地域包括支援センターや自治体の高齢福祉課などに相談するのもよいでしょう。
自宅での介護が難しい場合は、介護施設の利用を検討するのも一つの手段です。
これにより家族の負担が軽減され、より専門的なサポートが受けられる場合があります。
周囲の人たちがしっかりとサポートし、適切なタイミングで専門的な医療を受けることで、認知症の進行を遅らせる助けとなるはずです。
脳への刺激が不足すると認知症が一気に進む
本記事では、認知症が一気に進む原因と、進行を遅らせるための対策を解説しました。
認知症の進行が加速する原因には、過度なストレスや急な環境の変化など、さまざまな可能性が考えられます。
脳への刺激が不足すると認知機能が衰えてしまうため、すべてサポートするのではなく、本人の自主性を尊重し、できることは本人に任せる姿勢が大切です。
もしも、症状に急激な変化が見られたら、速やかにかかりつけ医を受診してください。
ルネクリニックでは、再生医療による認知症治療を提供しております。
認知症を患うご家族をお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。
① 治療方法 治療薬を鼻腔内に1滴ずつ垂らし、迅速に脳内に薬を届ける治療法です。 痛みはなく、仰向けの状態で30分程度の治療時間を要します。 治療回数は1クールで4回、治療期間の目安は約1ヶ月間となっております。 ② 副作用リスク ③ 連絡先 ④ 費用 ⑤ 入手経路 ⑥ 効能に関する国内の承認機器・薬剤の有無 ⑦ 安全性に関する諸外国の情報 ⑧ 未承認である旨 ⑨ 未承認薬・機器 |